【ハチナイ・全国大会】①鬼塚の守備貢献

どうも、ののぐち(@no_no_guchis)です. 全国大会お疲れ様でした.

予想外に中継ぎ天ちゃん配布イベが早く来て喜んでいます.

※太字だけ読めば大丈夫です。

 

全国大会では現状の仕様上、相手の高校名とオーダーを結び付けておくのがいい手段になりますので、対戦校のスクショを取っている方も多いかと思います。

今回わたしは、対戦後に出てくる「相手の攻撃の」(自分の守備時の)打撃成績を基本全てスクショして整理しました。

さて、この相手の打撃成績を利用し、”守備の人”の守備貢献を推定し、つづいて各ポジションでの守備失点を推定する方法を考えました。

また、フライ打球におけるホームランの割合(HR/FB%)を推定し、UR投手どうしで比較することで、PM<投手マスタリー>の効果がどのように発生しているのかを探ります。

さらに、HR/FB%の比較により、投手成績の推定に活かせるだろうことがわかりました。具体的な指標としては、FIP(DICE)をxFIPに取り換えて推定できます。

書いていたらやたらと長くなったので、本稿では守備成績の推定までとし、投手成績の推定については稿を分けることとします。

超忙しい人向け(今北産業

  • 無凸鬼塚は7%程度の打球を捕球させたので、通算+175点=+17.5勝貢献した。
  • 東雲は26点くらいこぼしている?

忙しい人向け(概要)

前回に引き続き、テーブルスコアにより各種打撃指標・投手指標・守備指標を定量化しました。

今回は新たに、相手の打撃成績から、自分のチームの守備時にどの守備位置にどれくらいの打球が飛んできたかを推定することができました。これにより、各ポジションの守備で発生させたアウト・安打・失策を推定し、守備でどのポジションがどれくらいの失点を発生させたかを分析しました。

鬼塚を編成することによる守備貢献には、チーム全体の守備指標(DER)を用いました。取れたアウトの比率を計算し、その差から鬼塚がいればシーズン通して取れただろうアウトの個数を計算し、1アウトで防げる失点期待値をかけて守備貢献を定量化しました。

個別の打球処理を動画のタイムシフトから切り出すなどすればもっと正確に出せるはずです。そこまでする暇はなかった

(以下本文。)

 

 

方法

上述のとおり、2021年3月~4月の全国大会で対戦後に得られる「選手成績」>「打席結果」(テーブルスコア)をスクショし、(ゴリラなので)エクセルにひとつひとつ転記して各スコアの発生回数をまとめました。なお、2日目と4日目は天井にかかったので全149戦です。また、端末の不調か私のミスか例のバグかわかりませんが、相手校のスキルリンクストーキングメモってたらアプリが落っこちた試合が4試合あったので、計145戦についてログを得ています。

 

セイバーメトリクスの指標思想

わたしはいわゆる「指標厨」、セイバーメトリクスオタクです。野球規則にのっとるとやきうのプレーの目的は相手より得点を多く稼ぐことです。リーグ戦で勝率を上げるには得点を増やし失点を減らす必要がありますね。

勝率はチームの総得点と総失点でかなり予測できるとわかっていて(ピタゴラス勝率)、どのくらい増やせば何勝増えるかがわかっています。したがって次に必要なのは何点増やせるかという得点予測です(ハチナイに出てくるRCが例)。「バントは得点期待値を下げる」という言説はつまり「勝利確率を下げる」と言い換えられます。”得点確率”はそれはそれで重要ですが、勝利確率とより連動するのは得点期待値なのでそっちを見ましょう。

脱線しました。

打撃の目標が得点が増やすことなら、もちろん守備の目標は失点を減らすことですね。したがって、セイバーメトリクスでは減らした失点で評価してやろうという哲学があります。守備率を嫌う理由はそこにあります。

また、アウトを取った数と減らした失点には強く相関があるので、取れたアウトの数で評価するという思想が根底にあります。(というか、打撃の失敗はアウトになることですから、守備の成功はアウトを取ることで、時代が進んで失点で評価できるようになりました)。

 

チーム全体の守備指標

チーム全体の守備指標としてお手軽なものにDERというものがあります。

DER[%]=(インプレー打球のアウト)/(インプレー打球)

=(打席ー安打ー四球ー三振ー失策)/(打席ーHRー四球ー三振)

で計算でき、DERとは野手がどれだけアウトにできたかを計る比率です。とうぜん、大きいほうがたくさんアウトにできていて、失点も少ないだろうと予想できます。

現状ハチナイちゃんの成績表示の仕様上、試合中のスコアボードか相手の打撃記録を見ないと失策数を確定できないので、今回失策数を把握してDERから守備得点を定量化できたことが進歩です。

(実際のところはたいした差ではないので、ある程度の誤差には目をつむって無視すればそれ以外のスタッツは入手可能なのですが…)。

さて、得られたDERは

鬼塚入り:71.2%

鬼塚抜き:64.0%

でした。シーズン終了後の全部のインプレー打球=3121個であって、プロ野球では1個の打球をアウトにすることで与えなかった得点(=失点の抑制=守備の貢献)は0.78点/アウトらしいので、

3121打球×7.2%アウト/打球×0.78点/アウト=+175点

RPW=10点/1勝で割るとつまり+17.5勝増やしたわけですね。

ここで、鬼塚の打撃の貢献XR=3.4点だったので、鬼塚を追い出すためには守備で+-0として打撃で178点稼ぐバッターが必要です。わたしのスタメン級だと、有原=161点、永井=228点、泉田=196点、東雲=142点だったので、永井・泉田並みに打てるバッターを入れる必要があるということがわかります。そりゃ税金払わされるわ

 

参考文献(というかまんまパクリ)

archive.baseball-lab.jp

 

UZRのようなもの

さて、これは以前掲載した表ですが、ハチナイで自動的に発生するテーブルスコアは以下で全てのはずです(よく考えたら犠打がありましたが、あれは戦術だけなので相手側には発生しませんし、通常は使う意義のない戦術なのでなかったものとみなします)。

三振 投ゴ 投飛 投直 投失 投安        
四球 一ゴ 一飛 一直 一失 一安        
  二ゴ 二飛 二直 二失 二安        
  三ゴ 三飛 三直 三失 三安        
  遊ゴ 遊飛 遊直 遊失 遊安        
  併殺 左飛 左直 左失 左安 左二 左三 左本 犠飛
    中飛 中直 中失 中安 中二 中三 中本 犠飛
    右飛 右直 右失 右安 右二 右三 右本 犠飛

ところで、野球の構造上、まず投手が捕手に向かって投げた球を打者が打って、転がった打球を野手が処理するというのはみなさん当然のごとくご理解いただけるでしょう。ここで、野手が関与できない打球は投手の責任(正確にはバッテリーの責任)であって、野手の評価には入れるべきではありませんよね。野手が関与できないスコアは上表のうち、三振、四球、左本・中本・右本です。

またそれ以外でも、野手がヘマしない限り確実にアウトが取れてかつ走者を進塁させない内野フライは奪三振と同じように扱うべきだということがわかっています。したがって、投飛・一飛・二飛・三飛・遊飛は投手の評価に組み込み、野手の評価からは除外するのが適切です(「走者を進塁させない」はむしろこっちが重要で、つまり失点期待値を増やさない、勝利確率を下げないという意味でとらえることができます)。

投ゴ   投直 投失 投安    
一ゴ   一直 一失 一安    
二ゴ   二直 二失 二安    
三ゴ   三直 三失 三安    
遊ゴ   遊直 遊失 遊安    
併殺 左飛 左直 左失 左安 左二 左三
  中飛 中直 中失 中安 中二 中三
  右飛 右直 右失 右安 右二 右三

これで野手が責任を負うべきスコアは以上になります。

ちなみに、投手はゴロ・ライナー・フライをどれくらい打たせるかまでは関与できるらしいですが、アウトにしやすいゴロを打たせるとか、飛ばしたフライをどれくらいアウトにさせるかまでは関与しにくいというのが通説のようです(もちろん例外的な投手もいます)。

 

さて、上表のうち、どのスコアがどの守備位置で発生するかどうかを特定します。

まず、○直、○失と、内野ゴロ・内野安打・外野フライ・犠飛はその守備位置で発生したと考えられます。面倒くさいので外野フライと犠飛は一緒くたに扱うものとします。

つぎに、○二・○三はその外野手の責任としておきます。塁線ぎわ強襲のゴロ・ライナーが三塁打につながるとも想定できますが(実際サード東雲が反応した左三を見た覚えがある)、事後的に分担する方法を特に思いつかなかったしとくに三塁打は数が少ないので妥協します。ごメンチ。

 

これで残るは併殺、左安・中安・右安になります。

併殺はわたしはUR天草を持っていない関係で3-2-3みたいなスクイズ失敗ゲッツーを見ないで済むので、特殊な例は除外して一般的な例のみを考えます。併殺打は走者がすくなくとも一塁にいて、無死・一死で内野に発生したゴロによるものですね。たいてい6-4-3か4-6-3、5-4-3になることが多いと思うので、エイヤッと三等分して二塁・三塁・遊撃に1/3ずつ四捨五入して責任個数とみなします。

正確には「併殺打」と守備記録の「併殺」は違うようですが、ハチナイちゃんでそんな珍しい挙動はあんま見たことがないですし、大事なのはどこで内野ゴロを取れたと推定するかなので無視します。プロ野球では6-4-3と4-6-3で60%カバーできるらしいのでまぁヨシ!とします。

 

安打の分配にあたっては、とりあえず

・左安は三塁・遊撃・左翼で分担する

・中安は投手・二塁・遊撃・中堅で分担する

・右安は一塁・二塁・右翼で分担する

と定めます(これについてはとくに異論はないでしょう)。

ここで、分担割合は安打以外で発生したイベントの比率に応じて分担するものと決めてしまいます(仮定)。投手・内野は(ゴロ+併殺+ライナー+失策+内野安打)を、外野は(ライナー+1/2*フライ+1/2*犠飛)を責任割合として比率で分担させることにします(定義)。外野で1/2をかけたのはポップフライの安打は外野の定位置より前になるでしょうから適当に1/2しました。このとき、二塁・遊撃は中堅・両翼にまたがるので(ゴロ+併殺+ライナー+失策+内野安打)の和の1/2をそれぞれの方向の責任割合とします。

 

最後に、併殺の2個目のアウトの評価を加えます。

コンビで取ったアウトなので2人に半分ずつ加えるとして、いま6-4-3と4-6-3と5-4-3しか想定していませんから、ピボットの分の評価は二塁手に2/3、遊撃手に1/3つけることにしましょう。

 

以上から、各ポジションの責任として負うべき個数を決定できました。

具体的には以下のようになりました:

投手 投直 66 投失 7 投安 14 投ゴ 61         中安 55    
一塁 一直 134 一失 9 一安 23 一ゴ 108             右安 118
二塁 二直 53 二失 1 二安 16 二ゴ 24 併殺 11     中安 20 右安 23
三塁 三直 111 三失 8 三安 37 三ゴ 94 併殺 11 左安 126        
遊撃 遊直 60 遊失 2 遊安 17 遊ゴ 51 併殺 11 左安 34 中安 23    
左翼 左直 124 左失 5 左飛+犠 123 左二 24 左三 10 左安 91        
中堅 中直 178 中失 8 中飛+犠 173 中二 31 中三 14     中安 98    
右翼 右直 169 右失 2 右飛+犠 146 右二 28 右三 14         右安 105

 

これに併殺評価を加え、

失点阻止FieldingRuns=ー0.50×単打ー0.72×二塁打ー1.04×三塁打+0.28×(奪アウト+併殺評価)

に流し込み、防いだ失点(守備得点)のレートで表示できます。責任機会が等しくないので、適当に1500機会あたりとして揃えたものをFR/1500としました。参考までに、トータルの奪アウト=3320個で割り27アウトあたりのチームの守備スタッツをFR/27としました。

+:堅守 貢献FR[点] 責任数 FR/1500
 投手 -2.44 203 -18
 一塁 -7.24 392 -28
 二塁 -0.26 148 -3
 三塁 -26.4* 387 -102
 遊撃 -0.44 198 -3
 左翼 -6.52 500 -20
 中堅 +8.40 673 +19
 右翼 -0.02 609 +-0
合計 -34.92 3110 -17
FR/27 -0.28    

UZRと違って、ゼロからの積み上げ指標なので他ポジションとの比較もできます。三塁ヤバない?

だいたい左右で同じ傾向を示すと思うので、ファーストと比較してもサードの守備ボロ加減はやばいですね(併殺評価でプラスしてあるはずなのですが)。

ただ、守備でいくら貢献した(過去形)は1シーズンでわかりますが、真の能力の推定にはプロでも3年くらいサンプルが必要らしいので、まだ下振れただけ…だよな…?

とりあえずエクセル上で事後的に作ってみただけなので穴だらけです(穴しかない)。ハンター中野つけてない永井加奈子がこんだけプラス作ってるとは到底思えないので、どうも責任分担がコーナーに激辛でセンターラインにゲロ甘な気がします。

遊撃が守備ボロでまったく取れなかったら遊撃が取るはずだった分の責任が三塁に押し付けられるとか、安打のゴロ率・フライ率の扱いが雑だったりとか…。そんな欠陥はありますが、とりあえずこんな感じで相手の攻撃から自分の守備を推定できるのではないでしょうか、というお話でした。

 

やたらと長くなったので一旦分割します。ご高覧くださりありがとうございました。

 

(追記)

内野フライと守備率

      刺殺(多分) 補殺(多分) 守備率[%]
投飛 65  投手 131 61 96.5
一飛 113  一塁 510 108 98.6
二飛 67  二塁 142 57 99.5
三飛 141  三塁 252 105 97.8
遊飛 51  遊撃 122 73 99.0
     左翼 247   98.0
     中堅 351   97.8
     右翼 315   99.4
     合計 2070 404 98.3