【ハチナイ・全国大会】②UR投手のPMの効果/xFIPの算出

どうも、ののぐち(@no_no_guchis)です。

前回に引き続き、対戦相手の打撃成績から自分の投手成績を推定し、天ちゃんのPMははたしてどこに作用しているのかを考えてみたいと思います。

※太字だけ読めば大丈夫です。

 

具体的には、フライ打球におけるホームランの割合(HR/FB%)、被長打1本あたりに稼いだ打席(打席/長打)をUR投手どうしで比較することで、PM<投手マスタリー>の効果がどのように発生しているのかを探ります。

さらに、HR/FB%の比較により、投手成績の推定に活かせるだろうことがわかりました。具体的な指標としては、FIP(DICE)をxFIPに取り換えて推定できます。

超忙しい人向け(今北産業

  • HR/フライは3人とも20%程度で、xFIPで推定すると同じくらいの能力。
  • フライ率とTBS式長打率が変化している?
  • PMは打たれた打球を後出しで長打にしない?

忙しい人向け(概要)

前回に引き続き、テーブルスコアにより各種投手指標を定量化しました。

各投手の登板時にわけて守備記録をつけ、各投手が打たれたゴロ・ライナー・フライを推定し、HR/FB%を推定し、失点率ベースのxFIPとして、投手が真に負うべき責任を定量化しました。

個別の打球処理を動画のタイムシフトから切り出すなどすればもっと正確に出せるはずです。そこまでする暇はなかった

(以下本文。)

 

 

方法

前回同様、2021年3月~4月の全国大会で対戦後に得られる「選手成績」>「打席結果」(テーブルスコア)をスクショして計145戦についてまとめました。

セイバーメトリクスの投手指標

打撃の目標は得点を増やすことであり、守備の目標は失点を減らすことです。投手も守備に貢献するわけで、減らした失点・与えた失点を評価すればよいですね。古典的には防御率自責点×9/投球回=27アウトあたりの自責点がしばしば用いられます。

しかし、問題は前回守備編で薄々触れましたが、投手が飛ばした打球をアウトにできるかどうかは野手の責任がそれなりに関わるので、投手の純粋な評価に野手の能力を組み込むのは適切ではありません。防御率を嫌いFIPを使う理由はここにあります。

したがって、投手評価にあたっては、インプレー打球は平均的な失点を想定し、実際にインプレー打球がいくら安打になったかどうかはいったん除外しておく必要があります(贔屓のショートが源田か倉本かで防御率は変わるでしょう。そういうことです)。

よくFIPの解説でインプレー打球を無視と書いてあったりしますが、正確にはインプレー打球すべてに一定の失点を見込んで評価するものなので、ちゃんとインプレーにしちゃった分の失点は考慮されています(ゴロ・ライナー・フライで失点のしやすさが違うだろ!という文句に対応したtRAという指標もあります)。

 

また、セイバーメトリクス的には勝率につながるのは失点なので、野手の責任と投手の責任を切り分けて評価する方法がすでにある以上、自責点という責任範囲が怪しいスタッツに今更頼る必要はないでしょう(この類のことをツイートしたらキレられたことがあります)。なお、本稿では失点率にスケールを合わせて評価します(防御率スケールなら0.2くらい引いてください)。

 

使用した投手

今回、運に恵まれ3人全員揃えられたので、育成状況は微妙ですが(東急電鉄なみの計画性のなさです)、だいたい同じくらい育てられたのでローテーションで登板させました。

まず成績確認から得られる投手成績は以下のようになりました:

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失点率RAは舞子=2.22、神宮寺=2.80、天=2.46、高坂=9.00でした。全員合計のRA=2.60であり、UR3人のRA=2.47でした。このRA=2.47を後で基準にします。

基本的に舞子と神宮寺の2枚を使用し、凸数の関係で天ちゃんで投球回を稼いでいました。パック高坂は大差がついたときのロングリリーフで使用していました(リプレイスメント・レベルと思ってもらえればいいでしょう)。

念のためサンプルサイズをプロ野球と比較すると、2019年の最多投球回は大野雄大の177.2回だったそうですから、おおよそ1~3シーズン分投げさせたと分かります(つまりそれなりに十分なサンプルが取れています)。

 

育成状況は以下の通りです:

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いずれも先発仕様ですが、舞子と天の中継ぎ天ちゃんは1体しか作っていなかったせいで共用しています。舞子は球速2凸、神宮寺は球速1凸、天ちゃんは無凸です。あと銀羽ください。

ベンチに舞子または神宮寺のどちらかを中継ぎ仕様にしてお守り代わりに入れておいた関係で、上記のスタッツは中継ぎ時も含んでいます。この場合風神宮寺は花の肩回転の奥義に取り換えていました(運に恵まれ素体はあるのに凸が足りていない)。以下の分析でも、どうせ分離してもたいしたサンプル数が取れないだろうし、ゲームの仕様上確定三振が取れる能力は評価に含めるべきであろうと考えごっちゃにして取り扱います。

 

詳細な成績

前回、野手の守備成績で野手が介入できず投手能力評価で扱うべきスコアは「奪三振、与四球、被本塁打、奪内野フライ」であることはのべました。

これに対戦打者数/Batters Facedを加えたスタッツが以下の通りです:

  打席/BF 三振/K 四球/BB HR 内野フライ
舞子 1803 501 12 61 165
神宮寺 1725 458 9 62 164
807 173 19 23 91
高坂 123 8 2 9 17
合計 4458 1140 42 155 437

BFで割って比率にすると:

  K% BB% HR% BF/HR[打席]
舞子 27.8 0.67 3.38 29.6
神宮寺 26.6 0.52 3.59 27.8
21.4 2.35 2.85 35.1
高坂 6.5 1.63 7.32 13.7
合計 25.6 0.94 3.48 28.8

こうなります。HR%の逆数BF/HR(本塁打率)も参考に載せました。

やはり確定三振が取れる舞子・神宮寺は(それなりに押してましたので)K%が高いことがわかります。天ちゃんはそこそこ育成してるつもりではあるのですが、データ打ち込んでいてなんか四球をよく見るなと思っていたら三振取れずによんたまを出している様子が見て取れます(捕手と乾の吸引が足りないんでしょうね)。

HR%≒BF/HRは差がついていて、とくにURとSSRの差が明確に出ているポイントになっています。高坂は余裕ぶっこいてリリーフさせたら2イニングで3本打たれた試合があったので上振れていると感じています。

なお3人のPMはこうなっています:

  K% BB% 2B% 3B% HR%
舞子 上昇   減少 減少 減少
神宮寺 大幅 減少      
    わずか 減少 超大幅

三塁打はそもそも発生しにくいせいで検証が難しい(というか時間がかかる)ので無視してよいと思いますが、ホームランに関してはたぶんPMが効いているのでしょう。

 

さて、天ちゃんのPMが結果につながっていそうなことがわかったところで、ではPMの力の源泉はどこあるでしょうか(夜しか眠れません)。

まずは、前回軽く触れたとおり、投手はゴロ・ライナー・フライの比率までは介入できるとわかっています。また、外野フライにおけるホームランの割合(HR/FB%)に投手は介入できず、シーズンごとの差が大きく、年度間相関が小さく、シーズンを繰り返すと収束していくことがわかっています(これを書いている間に西が香月にホームランを打たれましたが、このためフライボールピッチャーほどホームランが多くなります)

(もし、天ちゃんのPMがHR/FB%に介入することでホームラン数を減らしているのだとしたら、HR/FBが変化すると予想できます。HR/FBに大差がみられないとすれば、投手成績の推定にあたってイベントが少なくブレが出やすい被本塁打を使わず、外野フライに一定の被本塁打率を見込んだxFIPを使用すればよいことになります。)

そこでゴロ性のスコア、フライ性のスコアをざっくり分類します。

  • ゴロ/GB=内野ゴロ+内野の失策+単打
  • ライナー/LD=ライナーアウト
  • フライ/FB=本塁打+外野フライ+犠飛+外野の失策+二塁打三塁打

 と定義すると(内野フライは除外します)、こうなります:

  GB LD FB
舞子 459 357 306
神宮寺 462 345 284
243 169 109
高坂 38 24 34
合計 1202 895 733

インプレー打球で割って:

  GB% LD% FB% HR/FB%
舞子 37.3 29.0 24.9 19.9
神宮寺 38.6 28.8 23.7 21.8
41.0 28.5 18.4 21.1
高坂 36.5 23.1 32.7 26.5
合計 38.5 28.7 23.5 21.1

になります。

HR/FB%はあまり差が出ていませんね。 まぁ1年分のサンプルであって反復試行もしていませんが、気になったら追実験してください(投げやり)。

UR投手のホームラン/フライ率はそんなに差がないところをみると、xFIPで扱うことでより少ない対戦数で投手評価を扱えそうです。ただし手間は多い

 

ゴロ率・フライ率に差がみられるので、もしかしたらここが原因なのでしょうか?その割には天ちゃんはフライ率下がっているのに対し、舞子はフライ率上がっているのでPMのせいなのかはよくわかりませんし、CHでゴロ率が上がるらしい神宮寺のほうがフライが少ないです.

フライ率が変わらないなら、フライ性の打球が安打になったときに長打を単打にするように何かしているのかもしれません。

 

そこでTBS式長打率を調査しました:

  長打/安打[%] BF/長打[打席]
舞子 22.8 19.0
神宮寺 29.6 13.8
20.1 20.7
高坂 37.0 7.2
合計 25.6 16.2

差が出てきました。どうも天ちゃんのPMは飛ばされたインプレー打球を単打にしているということでしょうか?基本的に野手陣は同じ野手陣を均等に使っていましたから、インプレー打球が安打になるかどうかは投手と関係がありませんし、相手チームもなるべく均等になるように心がけていたので(たくさん殴ってたらすみません)相手打者の傾向ということでもないはずです。

 

xFIPの算出

投手の責任スコアは三振・四球・本塁打・内野フライで、これらから投手が作った失点を評価します。また、とくに本塁打はイベント数が少なくブレが出やすいです。そこで外野フライに一定の本数を見込みます。

xFIP={13×被本塁打+3×与四球ー2×(奪三振+内野フライ)}÷投球回+定数

の式に流し込み評価すると以下のようになりました:

  xFIP
舞子 2.54
神宮寺 2.39
2.47
合計 2.47

舞子の☆作るべきでしたね…

天ちゃんは疲労度つけなかったのでその分有利ですが、まぁだいたいどれ使っても一緒なんじゃないでしょうか(育成の進みを考えると神宮寺さんが優秀なのかも)(繰り返しますが2シーズン分1回では検定とかできないのですが)。

 

 

ご高覧くださりありがとうございました。ではまた気が向いたら失礼します。